色彩楽園

1995年に起きた阪神大震災での子どもの心のケア・ボランティアをきっかけとして色彩楽園は神戸に誕生しました。

震災後子どもたちから受け取った絵や色に表れた心の言葉の多くには子どもの苦しみが震災のみならず、日常生活のそこここに存在し、そのために個が奪われ、それぞれが持つ無限の可能性が閉じこめられていることを物語っていたからです。

この心の言葉を受けて、すべての子どもの健やかな成長をサポートすることを活動の目的としました。自由に表現することで心を解放し、内に秘めた力や自尊感情を育て、能力を伸ばすアートプログラムを提供しています。

色彩楽園は、子どもの個性が活かされ、それぞれが持つ能力を発揮してこそはじめて「健康」と捉えた上で気軽に、かつ集中して自己の内面表出に取り組めるアトリエを開催しています。

アトリエで子どもたちは絵で、色で、言葉で、行動で内面にある感情や欲求をそれぞれのスタイルで外に向かって表現しています。年齢や障害の有無、学校に行っている、いないに関わらず「表現すること」「表現したもの」が全面的に受容されることでメンタルヘルスをよりよい状態に保って活動に集中し、個々が持つ様々な能力を発揮しています。

心のバランスがとれているときの子どもたちは、互いを尊重し、認め合い、譲り合い、自身のビジョンと主張を力強く表現しながら新しいチャレンジを続けて確実に生きる力を育てています。

また、子どもが健やかに成長するには保護者のケアが不可欠です。
子どもたちから発信された心の言葉は保護者と共にシェアし、保護者のさまざまな悩みの相談の場としての役割も担っています。

現在は発達障害などを抱える子どもたちの心の開放とチャレンジの場としても注目されていて、大学や病院などさまざまな機関からの紹介者も増え続けています。 さらに、子どもの健やかな育ちに関して保護者や教育・保育関係者に発信すると共にボランティアも養成しています。

阪神大震災後のボランティア活動は「あおぞら色彩楽園」として現在も続いていて、神戸に自由なアートスペースを定着させました。

ドクターの声:

25年前の阪神淡路大震災で災害後の「こころのケア」が大事であることが広く知られるようになりました。
これまで、安心して過ごしていた場所を奪われ、周りで多くの人が亡くなるといった日常にない体験は、年齢を問わず、誰にとっても大変な体験でした。とりわけ、子どもにとっては恐ろしい体験でした。

「こころのケア」に関して、当時、ある著名人が、「画用紙とクレヨンを子どもたちに渡せばいいんだ」と言ったと、四半世紀に近く時をすぎて詳細はあいまいですが、報道されたことを覚えています。
そしてそのことに、憤りを覚えたことは記憶に残っています。
恐ろしい体験をした後、その時に感じた様々な感情を自分の中に閉じ込めず表現することは、心のバランスをとるうえで大切だと言われています。
この意味で、絵を描くことで言葉にできない自分の思いを表すことは、子どもたちにとって良い体験になると思います。
けれども、一つ、そして、極めて大切なことが、震災直後の著名人の言葉には欠けていました。
それは、子どもたちが言葉にならない思いを絵の中に表現している時に寄り添い、表現されたものを受け止める大人がいることの大切さです。

絵を描くこと自体のもっている力もあります。でも、子どもたちにとっては、見守り受け容れてくれる大人の存在が大切です。これは、災害後に限らないことだと考えています。

関西学院大学人間福祉学部非常勤講師 井出浩先生

神戸大学医学部附属病院精神神経科、神戸市児童相談所(現神戸市こども家庭センター)を経て関西学院大学人間福祉学部教授。
日本児童青年精神医学会代議員、社会福祉法人神戸いのちの電話理事

沿革

1993年西宮YMCA子どものアトリエ開設
1995年阪神大震災被災児のメンタルヘルスケアボランティア活動「空とぶ子どものアトリエ」スタート(神戸市・芦屋市・西宮市) 。
西宮YMCAみんなのアトリエ(発達障害児クラス)開設
1996年「空とぶ子どものアトリエ」解散後、有志6名で名称を「色彩楽園」と改め、出張アトリエボランティア活動継続(芦屋市)
1997年・保護者の要請で定期教室を開催するため色彩楽園(神戸市)開設
・出張アトリエボランティア活動拠点を神戸市に移転し、「あおぞら色彩楽園」と名称変更
・神戸市児童相談所一時保護所出張アトリエ開催
1998年・大震災復興写真展 「光の中の子どもたち」(神戸市)
1999年・カラーヒーリングクラス開設
・コソボ難民子どものメンタルヘルスケア
・第1回神戸おもいっきりおえかき大会
2000年・色彩楽園中高生のアトリエ,いろいろ相談室開設
・西宮YMCA中高生のアトリエ開設
2002年・アフガン・ニューヨークの子ども支援復興ワークショップ
・展覧会「神戸七年目の春〜子ども・こころ・みらい〜」
・大阪医科大学LDセンター 第1回夏休みおえかき大会
2003年・「子どもが心をひらくとき」出版(エピック)
2004年・台風23号被災児出張応援アトリエ 「おやまのあおぞら色彩楽園」(豊岡市)
・色彩楽園アトリエ須磨区に移転
2005年・色彩楽園設立10周年
・「小さなクレヨン詩人たち」出版(エピック/共著)
・日本福祉文化学会報告 「震災10年の取り組みと今後の課題」
・阪神・淡路大震災10周年イベント「10年の歩み そして未来へ〜今活かされる子どもたちの叫び〜」
2006年・YMCA新潟中越地震復興支援フォーラム 「災害・子どもたち・心のケア」(新潟県小千谷市)
2007年・能登半島地震被災児おえかきケア(福井県輪島市)
・光の中の子ども写真展2007 「あおぞらからのおくりもの」(神戸市)
2009年・台風9号豪雨被災児ケアの出張アトリエ開催(兵庫県佐用町)
2010年・台風9号豪雨被災児ケアの出張アトリエ開催(兵庫県佐用町)
・兵庫県より震災復興支援活動及び防災・減災活動に対する感謝状を受ける
2011年・東日本大震災被災児メンタルケア(山形県米沢市など)
・ ヒーリングアート定期開催(三重県津市 長尾こころのクリニック)
・ 東日本大震災被災児メンタルケア(定期開催:福島県西白河郡)
2012年・東日本大震災被災児メンタルケア(福島県西白河郡)継続
2013年・西宮YMCAアトリエ20周年
・東日本大震災被災児メンタルケア(福島県西白河郡)継続
・あおぞら色彩楽園福島県出張開催
2014年・東日本大震災被災児メンタルケア(福島県西白河郡)継続
・あおぞら色彩楽園福島県出張開催
2015年色彩楽園20周年
・日本児童青年精神医学会より実践奨励賞授賞
2018年 ・西日本豪雨愛媛県子どものこころのケア

主催プロフィール

藤井 昌子 (Fujii Masako)

アートセラピスト・公認心理師。神戸YMCAで幼少年活動、指導者養成等に携わった後、自由に表現することで心を開放し、内に秘めた能力や自尊感情を育てて能力を伸ばすことを目的とした色彩楽園を主宰する。不登校、発達障害を抱える子どもや家庭とも向き合い、アトリエに受け入れると共に講演・執筆活動を行う。

阪神大震災より災害や虐待などを体験した子どもの心のケア活動に取り組む。2015年に日本児童青年精神医学会より実践奨励賞受賞。

著書に「野外・探検遊びをしよう」(明治図書/共著) 、「子どもが心をひらくとき」(エピック)、「小さなクレヨン詩人たち」(エピック/共著)。
日本LD学会員、日本児童青年精神医学会員、日本描画テスト・描画療法学会員、日本芸術療法学会員。
社会福祉法人星輝会評議員。

特別支援教育士
http://nidaitien.stretch7.com/aboutsens001.html

日本描画テスト・描画療法学会認定描画療法士 
http://www.byoga.jp

メディア掲載

●心赴くまま 自分を出せた 演劇や美術、少しづつ自信つける(2020.11.6 産経新聞)
●明るい色でお絵かき 震災20年 心に変化(2015.7.20 讀賣新聞)
●フクシマ&コウベ 被災した子どものメッセージ(2014.1.15 関西情報ネットten 讀賣テレビ)
●「子どもに生き抜く力を」(2013.11.4 神戸新聞)
●心を再生する色のチカラ(2012.2.6 福島県災害ボランティアセンター通信)
●社会との絆 芸術がつなぐ(2012.1.5 読売新聞)
●おえかきで被災児の心のケア(2011.4 FQ JAPAN男の育児online)
●小さな被災者と絵と心(2011.5.5 スーパーニュースアンカー 関西テレビ)
●心の内見える「おえかきケア」(2011.5.3 読売新聞)
●描いて はき出して(2011.4.15 朝日新聞)
●正しい「被災地支援」ガイド(2011.4.5 週間SPA!)
●ため込んだ感情 絵で吐き出せる(2011.3.30 山形新聞)
●子どもの心「色」で診る 親向けのハンドブック作製(2010.1.29 朝日新聞)
●作用の子を元気に(2009.10.18 朝日新聞)
●わたしとおかあさん 世界一の過保護に感謝(2008.2.19 毎日新聞)
●島っ子元気だ おえかき大会(2008.1.21 朝日新聞)
●生かされて 二十歳 1.17父にもらった夢三つ(2008.1.14 朝日新聞)
●心満たす子の笑顔 震災機に出張アトリエ 藤井さん写真展(2007.12.19 朝日新聞)
●子どもの心レスキュー隊「クレヨン救急士」(2007.8月 消化器外科NURSING voi.12)
●心の再生感じて(2007.1.30 神戸新聞)
●震災被災児の絵 永遠に(2007.1.22 読売新聞)
●クレヨン救急士初めて認定(2007.1.22 神戸新聞)
●心の傷にクレヨン救急士(2007.1.16 朝日新聞)
●震災後 支えの証 511個の手形で作品(2006.4.17 読売新聞)
●手形511個 つなぐ平和(2006.4.16 朝日新聞)
●511の手形で地球描く 北淡震災記念公園 神戸のNGOが寄贈(2006.4.15 毎日新聞)
●小児看護 Vol.28 No.12(ほるぷ出版)2005年11月号美育文化 Vol.55 No.06(美育文化協会)2005年11月号 に著書「小さなクレヨン詩人たち」が紹介されました
●震災復興と世界平和求めて 被災児ら511人手形アート(2005.11.8 神戸新聞)
●神戸復興支えた“世界の手”…ボランティア団体が絵に(2005.10.26 読売新聞)
●クレヨンは心のワクチン(2005.9.18 毎日新聞)
●言葉に出来ない震災の体験描く(2005.9.2 毎日新聞)
●クレヨンは「心の薬」(2005.9.1 神戸新聞)
●取り戻した心 靴に(2005.5.26 読売新聞)
●「子どもと向き合う仕事17 アートセラピーのスペシャリスト」(Pedi!(ぺディ!)田辺三菱製薬(株) に掲載)
●震災児らの心のケア9年 絵に表れる不安、恐怖(2004.4.21 毎日新聞)
●あおぞら色彩楽園の紹介(KANSAI TIME OUT 2003年11月号)
●「変わる様子つづる 「子どもが心をひらくとき」出版(2003.8.16 朝日新聞)
●「長〜い紙に思いっきり100色」お絵かき122人満喫(2002.8.19 神戸新聞)
●「残酷な絵、不安な絵  子どものケア続く」(2002.5.25 朝日新聞)
●「復興へ心の軌跡」7年の歩み紹介(2002.5.19 神戸新聞)
●「KOBEスピリット 共感全国へ」(2002.5.4 毎日新聞)
●「KOBEスピリット 国連を動かす」(2002.4.18 毎日新聞)
●「絵は心の言葉 表現すると元気になるよ」(2002.4.18 毎日新聞)
●「平和願い巨大絵画」震災被災地の子どもたちが「心」送る(2002.4.2 毎日新聞)
●「思い届けるポスト登場」激励の絵画を受け付け(2002.4.2 毎日新聞)
●「壁や天井などをキャンバスに」お絵かき大会(2001.7.16 読売新聞)
●「パソコン、おしゃべり・・・何もしない自由も」悩みを抱える中高生のために開かれたアトリエ(2000.6.4 神戸新聞)
●「コソボ難民一家に絵画療法」(2000.1.8 神戸新聞)
●「コソボ難民のPTSD」(1999.6.23 読売新聞)
●「子どもの輝きとらえた」明日から神戸で写真展(1998.8.3 神戸新聞)
●「色の力で心いやす」(1998.4.26 読売新聞)